ただいるだけで

子どもたちと接していると自分の凝り固まった観念が、
パッカ~ンと打ち砕かれることがあります。
小さい頃、
「完璧な人は、一人もいないんだよ」
「どの人も失敗するし、間違えるんだよ」
そう何度も聞いていた私は、
どういうわけか、
自分は完璧ではない=愛されるに値しない
と思うようになりました。
つまり、自己肯定感が異常にまで低い人間になったのです。
ところがあるとき、この方程式が崩れる出来事が起こりました。
当時、非常勤で働いていた私は、自分の授業をもっていませんでした。
週に24コマある授業は、すべて他の先生の助手的な扱いだったので、
役立てるときもありましたが、思うように動けないことも多くて、
次第に、
・私って、いる意味ないよな~
・先生になったのに、授業がもてないなんてがっかりだな~
と沈んでいく自分がいました。
ところが、ある日、2時間目から学校に行ったとき、
学校に入ろうとする私に、
「お~い!先生~!」
という声が聞こえてきました。
見上げると
なんと2階のベランダから、
手を振る生徒が何人もいるではありませんか。
まるでアイドルにでもなった気分で、
純粋にうれしい☆と感じました。
スポーツをしてこなかったので、
遠くから大声で呼ばれる体験は、初めてでした。
その後も、南の校舎にいる私を見つけては、
特に用もないのに、
北校舎のベランダから大声で
「先生~!」
と手を振ってくれることが何度もありました。
そして、ちょっと照れながら、手を振りかえしたのでした。
先生のことが私は好きよ
そう言われているように感じました。
その経験を通して、
私は、ただいるだけでも愛されるんだ
と思えるようになったのです。
そして、子どもたちにも
今日もよく来たね
あなたと出会えたことがうれしいよ
今日も一緒に過ごせてうれしい
といった存在承認の言葉を掛けることができるようになったのでした。
よい行動や成果だけを見るのではなく、
その人がそこにいてくれることにも感謝していきたいですね。